以下のチェック項目を見ながら、手元の荷物と照らして読み進めてください。
- 農産物・土・植物体は原則NG、例外は証明書付き
- 肉・卵製品は未開封でも不可が多い、加熱缶詰は例外
- 化粧品は成分と容量に注意、機内液体は100mlまで
- リーフセーフ日焼け止め推奨、特定成分は販売禁止
- 現金は1万USD超で申告、貴金属や文化財も要注意
- 申告フォームは正直に、迷えば申告が基本
ハワイ持ち込み禁止を正しく理解|現場の視点
まずは枠組みを把握します。「禁止」は絶対不可、「制限」は条件付き可、「申告」は聞かれたらではなく迷ったら出すが原則です。島の農業と固有種を守るため、検疫は世界でも厳格な水準で運用されます。制度は更新されるため、直前に公式の案内で再確認しましょう。
本稿は旅行者向けの実務ガイドです。最終判断は税関・農業検査官に委ねられ、航空会社の運送約款や地域法も別途適用されます。疑わしき品は出発前に持参中止か、申告のうえ係員の指示に従ってください。
- APHIS:米農務省動植物検査局。検疫基準を所管。
- HDOA:ハワイ州農務省。州内の持込規制を運用。
- CBP:米税関国境警備局。税関・申告窓口。
- TSA:運輸保安局。保安検査・機内持込の規則。
- FDA:医薬品・化粧品等の連邦規制を所管。
- 申告漏れの多くは食品・土産の肉類・果物・種子。
- 没収理由は「原産地不明」「ラベル不備」「未滅菌」。
- 手荷物よりも預け荷物での発見が目立つ傾向。
なぜ島のルールが厳しいのか
ハワイは外来病害虫の侵入に弱い島しょ生態系です。小さな種や土壌に潜む病原体が農業や在来種に影響するため、輸入時に“安全が立証できないものは入れない”という思想が徹底されています。旅行者の土産でも扱いは同じで、ラベルや証明が守れない品は原則禁止です。
禁止・制限・申告の線引きをイメージする
禁止は「生の植物体・土・多くの肉製品など」。制限は「加熱済み缶詰・市販加工食品の一部・特定条件を満たす植物標本」。申告は「食品全般・高額品・1万USD超の通貨等」です。分類を先に決めておくと、荷造り中の迷いが減ります。
ラベル主義で判断を速くする
英語成分表、原産国、滅菌・加熱表示、密封状態は要点です。表示が不十分な“手作り”や“量り売り”は基本的にリスクが高く、検査官の裁量で没収になりがちです。裏面ラベルの写真をスマートフォンに残しておくと当日の説明が早くなります。
「迷ったら申告」の実務
申告は不利ではありません。正直に出せば、その場で可否や処置(検疫/廃棄)が決まり、罰金リスクを避けられます。未申告で発覚すると、没収に加えてペナルティの対象になりうる点を理解しておきましょう。
最新情報の取り方
航空会社・ツアー会社の案内は便利ですが、最終的には州と連邦の一次情報に当たるのが安全です。英語ページでも「prohibited」「restricted」「declaration」の語で概要を掴み、詳細は該当のFAQやPDFを読みます。自分の荷物に当てはめて具体的に判断する姿勢が大切です。
食品・植物・土壌・動物製品の可否を実務で見極める

この章では最も没収が多い領域を扱います。焦点は“植物性・動物性・土壌”の三本柱で、加熱・滅菌・密封・原産地の4要素が判断の鍵です。市販の加工食品でも“肉由来ブイヨン”を含めばNGになることがあるため、ラベルの細部まで見ましょう。
| 品目 | 典型例 | 可否の目安 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 生果実・野菜 | 柑橘・マンゴー等 | 不可 | 害虫・病原体リスク高 |
| 加工果実 | 加熱缶詰・商用ドライ | 条件付可 | 未開封・商用ラベル必須 |
| 肉・畜産加工 | ジャーキー・生ハム | 不可が多い | 原産・処理証明が必要 |
| 乳・卵加工 | 生菓子・卵黄ソース | 不可が多い | 加熱・滅菌証明に依存 |
| 植物・種子 | 生花・苗・未処理種 | 不可/要許可 | 土付きは原則不可 |
| 土壌・苔 | ガーデニング用土 | 不可 | 病原体混入の恐れ |
| 蜂産品 | 生ハチミツ | 制限 | 寄生虫・未処理は不可 |
土が付いた装飾品:流木・貝殻に土や有機残渣が付いて没収。持つなら洗浄・乾燥・土除去を徹底。
ラベルの無い量り売り:原材料不明で不可。商用密封パッケージのみ検討。
肉由来出汁の見落とし:スープの素等に肉成分。英語ラベルの“broth”“gelatin”に注意。
- 品を「植物性・動物性・土壌関連」に分類
- 未開封・商用ラベル・原産国表記の有無を確認
- 加熱/滅菌表示や処理証明の有無を確認
- 迷ったら写真を撮り、渡航前に可否を照会
- 当日は申告ラインに並び、現物を提示
生鮮と加工の境目を設計する
“生”は原則不可と覚え、加工は証明で判断すると早いです。加熱済みでも自家製・無ラベルは不可。商用ドライフルーツやナッツは油や香辛料の成分次第で扱いが変わるため、成分表の写真保管が役立ちます。
植物・種子・花材の扱い
苗や生花、土付き装飾はリスクが高く、許可と検査が必要です。乾燥押し花や完全乾燥の花材でも、原産・処理が不明なら止める選択が安全です。園芸用の種子は包装・学名・原産表示がそろっていなければ見送りましょう。
動物由来製品のグレーゾーン
ジャーキー、乾燥肉、ソーセージなどは不可が基本。チーズや乳製品は加熱・滅菌・原産によって扱いが細かく分かれます。蜂産品は病原体の観点から制限され、土産用途でも未処理品は避けるのが無難です。
薬・化粧品・日焼け止め・医療機器の留意点
健康関連は容量・成分・用途が鍵です。個人使用の医薬品・化粧品は通常少量持ち込みが可能ですが、処方薬は本人使用・原包装・英語処方箋を基本に。日焼け止めは海の保全から成分規制が導入され、現地では特定成分を含む製品の販売が禁じられています。旅行者は“リーフセーフ”表記の製品を選び、機内では液体ルールに合わせて準備しましょう。
Q. 処方薬はどれくらい持てますか。
A. 個人使用量に限り、原包装・ラベル・英語の処方情報を携行。液体は機内規則に適合させます。
Q. サプリは申告が必要ですか。
A. 個人使用の範囲では通常持込可ですが、動物由来成分や量によっては申告・制限の対象です。
Q. 日焼け止めはどんな成分に注意。
A. オキシベンゾン、オクチノキサート等を含む製品は現地販売が禁止。無機系(酸化亜鉛/酸化チタン)推奨です。
- 液体は100ml以下容器+1L透明袋に集約
- 処方薬は英語ラベルと必要量のみ
- サプリは未開封少量、成分が分かる容器
- 日焼け止めはリーフセーフ表記を選択
- 電子医療機器は診断書の写しを携行
現地購入:規制適合品を確実に入手できる。価格は観光地相場でやや高め。
持参:肌に合う製品を使えるが、成分・容量と機内ルールの管理が必要。処方薬は持参が基本。
化粧品と機内ルールの交差点
化粧水・乳液・日焼け止め等の液体は保安検査でまとめて提示できるよう、透明袋に集約しておきます。預け荷物は容量の自由度が高いものの、破損・漏れ対策に二重包装を施しましょう。
日焼け止めの選び方と塗り方
ビーチや海域ではサンゴ保全の観点から無機系を選ぶのが安心です。SPFやPAの数値だけでなく、耐水性・塗り直しの頻度を旅程に合わせて決めます。肌トラブルの既往がある人は、出発前にパッチテストを行うと当日の不安が減ります。
処方薬・自己注射などの取り扱い
注射器や針を伴う医療機器は、診断書や使用説明の英語版を用意して係員に提示します。冷蔵保管が必要な薬は、航空会社に事前連絡し、保冷方法を確認しておくと安心です。
現金・金製品・海洋資源・文化財・野生生物関連の注意点

金銭・貴金属や文化財は“量と由来”が核心です。通貨は1万USD超で申告義務が生じ、金の延べ棒や高額ジュエリーは価格証明を準備しましょう。海岸で拾ったサンゴや巻貝、歴史的価値のある品は持ち出し・持ち込みいずれも禁止や制限があり、野生生物関連は国際条約の網にもかかります。
- 1万USD超相当の通貨・小切手は申告
- 貴金属・宝飾は購入証明や評価書を携行
- 商用目的は別手続、旅行者免税は数量に限度
- 贈答・携行でも課税対象になり得る
「ビーチの白いかけらがサンゴと知らずにポケットへ。出国時の説明で没収され、善意でも自然物は採らないことを学びました。」
国立公園や保護区域では石・植物・サンゴ片などの採集が禁止されています。購入した装飾品でも、素材の由来が不明な物は避けましょう。
通貨・貴金属の申告ライン
通貨は合計額で判断され、家族全員の所持金を合算する場合があります。申告は罰則ではなく、資金洗浄対策の一環。正直申告が安全です。貴金属は査定書、レシート、写真を揃えると説明が容易になります。
海洋生物・文化財・野生動植物
サンゴ、貝、甲殻類の一部は保護対象で、販売・採集・持ち出しが禁じられることがあります。古いレイや木彫りの民芸品は文化財・遺物の扱いに注意し、由来の説明ができない品は避けるのが無難です。ワシントン条約対象の動植物由来製品(皮革・象牙など)は原則持ち込み不可と考えましょう。
高額時計・ジュエリーを巡る誤解
身につけていれば免除という誤解は危険です。高額品は課税や申告の対象になり得ます。帰国時のトラブル回避にも、購入時の領収書を写真で残し、品番が分かる資料を携行してください。
空港・機内での運用ルールと当日の流れ
出発空港の保安検査と到着後の検疫・税関では着眼点が異なります。前者は危険物・液体系の取り扱い、後者は生物・食品・申告品が主役です。双方の論点を混同しないよう、持ち込み可能でも機内に持てない、逆に預ければ可などの差を整理します。
- 大容量の液体・ジェル・エアゾール(100ml超)
- 鋭利物・工具・ライターの種類による差
- リチウム電池(ワット時定格)と予備電池
- 出発前夜に液体類を1L袋へ集約、電池を確認
- 保安検査ではPC・液体をトレーに分けて提示
- 到着後、農業検査ラインで食品・植物を申告
- 税関で通貨・高額品の申告、必要に応じ課税
- 疑義があれば追加検査、係員の指示に従う
- 液体は100ml×合計1L以内の透明袋
- 土・植物体・生鮮は持たない
- 肉・卵由来はラベルで出汁成分まで確認
- 電池は定格と個数をメモ、予備は機内だけ
- 購入レシート・処方箋は写真で保存
液体・電池・鋭利物の実務差
香水や虫よけ、ヘアワックスなどは液体扱いになります。予備リチウム電池は受託手荷物に入れられず機内のみ。爪切り・カミソリは刃の形状で可否が分かれ、替刃は預け入れが安心です。
検疫・税関での対話
英語が不安でも、ラベル・写真・ジェスチャーで十分伝わります。「Food?」「Declare?」と聞かれたら「Yes. For personal use.」の一言で流れが決まります。係員は敵ではなく、島を守る味方です。
没収になった場合の対応
没収は罰ではなく予防措置です。記録に残る場合があるので、担当者の説明を聞き、次回に活かす材料として整理しましょう。代替案(現地で買える製品等)の聞き取りも有益です。
申告・課税・フォーム記入の実務とトラブル対応
最後に、紙とデジタルの手続きを習得します。焦点は「申告に不利益はない」という理解と、“迷ったら申告”を家族単位で徹底すること。申告は旅行の安全運転装置です。
- 氏名・便名・滞在先を記入、家族はまとめて可
- 食品・植物・動物製品の欄は“はい”で正直に
- 通貨1万USD超の携行は“はい”にチェック
- サインは代表者が行い、提示時に現物を用意
Q. 家族で分けた現金は合算されますか。
A. 合算対象となる場合があり、合計で1万USD超なら申告が必要です。
Q. 申告で列が増えますか。
A. 検査に回る場合はありますが、没収や罰金を避ける合理的な時間投資です。
Q. 英語の説明が難しい。
A. ラベルや写真を指差しで示し、“personal use”と伝えれば十分です。
「家族の“おつまみ”を未申告にして止められました。次回は“Food”に必ずチェックし、ラベル写真を見せるつもりです。」
課税と免税の境目を理解する
土産の数量や価格によっては課税対象になります。商用目的でなくても、同一品の大量携行は疑義が生じることがあります。領収書をまとめ、贈答・自用の区別を説明できるようにしておきましょう。
二次検査に回った時の心得
落ち着いて順番を待ち、求められたとおりにカバンを開けます。係員は処分だけでなく保全と円滑化が役目です。次に何をすべきか、代替案は何かを確認し、記録用に没収品の写真を許可の範囲で残しておくと次回に役立ちます。
旅程へのフィードバック回路を作る
今回の申告・没収・課税の有無をノートに記録し、次の荷造りリストへ反映します。家族・同行者とルールを共有すれば、旅の“学習コスト”はみるみる下がります。
まとめ
「何を入れないか」を先に決めれば、荷造りは驚くほど軽くなります。食品・植物・土壌・動物由来は保全の観点から扱いが厳しく、健康関連は容量・成分・用途の管理で迷いが消えます。現金・貴金属や自然物・文化財は由来の説明が要で、迷えば申告が近道です。
規則は更新されます。出発前に公式案内を再確認し、当日はラベル・写真・領収書をそろえて“正直申告”。それだけで、ハワイの自然と暮らしに敬意を払いながら、あなたの旅はしなやかに進みます。Aloha とともに、賢い荷造りで空へ出かけましょう。


